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認知症等で委託者の判断能力が落ちても信託できるのか

いきなり結論になってしまいますが、家庭裁判所で後見開始決定をされて成年後見人が着いた場合には、「できない」ということになります。
成年後見人の職務の内容からして、本人に代わって財産を信託することはまず考えられません。

じゃあ「認知症でも後見人が着いていなければできるのか?」という話になりがちですが、そんな簡単な話ではないことは想像に難くないと思います。

要は、後見人が着いていないとしても、信託だからということではなく、そもそも"契約"ですので、ご本人に「契約内容がわかった上で契約をするという意思」が必要です。
ですから、ご本人が自分が何しているのかわからない精神状態で、信託契約書に名前を書き印鑑押しても、それは「契約をしている」わけではなくて、「なんかわからない紙に名前を書いて棒状の物体を押しつけている」という動作をしているにすぎないということになります。

ただ、我々もお医者様ではありませんので、目の前に居るご本人が、今この瞬間に本当に契約をするだけの判断能力を有しているか正確にわかるわけではありません(逆にお医者様でも難しいと聞いています。)。
ですから、我々としては、認知症やその他の疾患でコミュニケーションが困難な方だとお伺いした場合、何度かお目にかかってお話しをしてみたり、行動を拝見させていただいた上で、自分の経験と良心に照らし合わせて、「この方は大丈夫」「この方は無理」とお見立てするしかないのが現状です。

そういう意味では、本当は、ご本人が判断能力を有しているかどうかは、身近に居るご家族が一番わかっていることだと思います。
ご家族の目で見て「なんか、訳わからないことばかり言うね」とか「受け答えはちゃんとしているけど、なんかわかってないみたいな気がする」といった印象を受けられたら、無理だと思った方が良いと思います。
仮にうまく専門家の目をかいくぐったとしても、それは「ばれる・ばれない」の次元の話であって、無効だという結論に変わりはありません。

ここからが蛇足になりますが、本来このテーマが家族信託を活用する上で一番難しい部分だと思います。
自然なこととして、ほとんどの方は元気なときにわざわざ費用や手間を掛けて「遺言を作ろう」とか「家族信託をやろう」なんて思わないと思います。
そして、大概は「認知症を発症して施設に入ることになったから、財産を処分して施設の費用を作りたい。」といったことをご本人ではなく家族が考えるのだと思います。
でも、残念ながら、その段階ではもう手遅れです
遺言にしても信託にしても、いわゆる皆さんが皆さんが「終活」と呼ぶ作業は、終わりを迎えるときではなく、終わりなどまだまだ先のことと感じられる元気なときにやっておかなければできないものだということを、我々がもっと伝えていかないといけないことだと感じております。



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