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家族信託で信託できる財産・できない財産

信託の対象となる財産に法律上の制限はありません。
法解釈上は、金銭換算できるとか存在していないといけないとか、日常的には意識しないような定義がたくさんあるみたいですが普通に皆さんが「財産」と感じるような財産はほとんど信託財産にできると思われます。
でも、そうは言っても様々な理由で信託に適さない、あるいは事実上信託できない財産も結構あると思われますので、いくつか例を挙げて検討してみたいと思います。
グレーゾーン的なものもありますが、原則として(例外もあるという意味で)信託できる物を青、信託できない物を赤で書いておきたいと思います。


現金
特に説明する必要はないと思います。
もっとも信託しやすい財産でもあると思います。
気をつけていただきたいのは、ここでいう現金とはまさに硬貨やお札といった"現金"のことであって、いつでも現金として引き出せるとしても預金は入りません。
タンス貯金までの意味だと思ってください。

銀行預金
法律上は預金も信託の対象になり得る財産ではあります。
しかし、預金を作る際の銀行との契約で預金は譲渡できないと書いています(口座開設の際にもらう約款という小冊子に書いています。)。
信託は財産を託すという譲渡の原因で、譲渡とは財産を譲り渡す行為そのものですので、契約違反となりますし銀行側も預金者が「口座を信託した」と申し出ても以後信託財産ととして取り扱うような対応はしてくれません。
ですので、預金を信託したければ、いったん現金として引き出してその現金を信託することになります。

上場株式
ここでいう上場株式とは、証券会社さんで取り扱っている流通してる株式という意味です。
有価証券も法律上は預金と同じく信託の対象になり得る財産ではあります。
しかしこれも、上場株式を取り扱っている証券会社さんで信託財産として名義を構築するような体制が整っているところはほぼないと思われますので事実上信託財産とすることはできないと思われます。

非上場株式
非上場といっても大企業の株式の場合は、その企業の株主名簿や株券の処理の対応の有無によると思われます。
しかし、例えば自分が経営している会社の株式といった場合は、自分の会社でその処理をすれば良いので、民事信託の対象となります。
ちなみに、いわゆる中小企業の会社のほとんどの定款には株式の譲渡制限(会社が承認しなければ株式を勝手には譲渡できない)の規定がありますが、個人経営の会社の場合はほとんどが社長さんが(あるいはそのご家族)100%の株式を持っていて実質的に譲渡を承認するのはその社長さんですから、その点で問題になることは少ないと思います。
ですので、個人経営の会社の株式は事業承継の手段として信託を活用するようなシチュエーションはかなり多いのではないかと思います

建物とその敷地
不動産は基本的に信託の対象となります。
不動産登記でも信託登記という信託財産になることを前提とした制度もあります。
ちなみに、不動産の資産活用や資産承継の問題の解決の選択肢になることが、家族信託のほとんどのパターンだと思います。
ただし、不動産に住宅ローン等の金融機関の担保設定がされている場合、金融機関との契約では返済が完了するまでは金融機関の承諾なしに担保不動産を譲渡等をしてはいけないという条項が入っていますので、無断で信託してしまうと後で発覚したときに残債務の一括返済を求められる可能性がありますので注意が必要です。

田や畑(農地)
農地法の対象となる農地については、農業委員会(又は都道府県知事)の許可が無ければ譲渡はできないことになっています。
また、許可を得ずに行った譲渡は無効ですし(罰則もあるはずです)、信託の登記もできません。
許可に関しては様々な要件がありますが、例えば受託者が農業従事者で今後は受託者が田んぼを耕作するといった場合が考えられますが、そんなことのために信託を活用することは考えられませんし、実現したとしても信託終了時に残余財産の帰属者にまた許可を得ないと引き継げない可能性がありますので、実質的には不可能だと思った方が良いと思います。

動産
動産とは、不動産以外の「物」としての財産です。
例えば、テレビとか鍋とかイスとか自動車とかでしょうか。
信託財産にすることに特に制限はありません。
自動車には国の登録制度もあり信託財産とする旨の公示もできるようです(軽自動車を除く)。
ただし、実務で動産を信託する話はあまり聞いたことはありません。
鍋やテレビを信託しても無意味ですし、高価な物でも貴金属でもないかぎりは基本的に価値がどんどん下がっていくものなので、信託する必要性が低いからだと思います。



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