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契約書は公正証書で作らないといけないのか

民事信託の契約書は法律上、原則として(※1)公正証書で作らないといけないといった形式を要求する規定はありませんから、私文書でも作ることができます。
しかし、公正証書で作るメリットと私文書で作るデメリットはいくつか考えられ、ここがトラブル回避の重要な分かれ目になると思います。


公文書で作るメリット
・弁護士や司法書士といった私人が起案した契約内容に、さらに公証人という公務員の目でチェックが入るので契約の文言上の間違いが起こりにくい。
・公文書(公正証書)作成の手続の中で、委託者と受託者の本人確認(※2)と意思確認が行われるので、少なくとも「契約当事者に契約する意思がなかった」というようなトラブルが起こることは考えにくい。
・作成された信託契約書はもちろん公文書なので、原本は公証役場に保管されるので、たとえ契約書を紛失しても謄本の再発行が可能。
・金銭信託で信託口口座を作ろうとした場合、少数ながら対応してくれる金融機関でもほとんどが信託契約書は公正証書であることを求めてくる。

私文書で作るデメリット
・起案した契約内容に第三者のチェックが入らないため、当時者も予期しない契約上の間違いが起こらないとは言い切れない。
・当事者間の自由意思で作るものなので、契約時に判断能力が十分にあったかといった点で公平に判断している人がいない。弁護士や司法書士が作成したとしても、契約締結に立ち合うとは限らないし、確認したとしても依頼に基づいて作成や立ち合いをしている以上、公平な立場とは言い切れない。
・作った契約書が物理的にこの世で唯一の契約書なので、破損や紛失をしてしまうと契約内容はわからなくなる。
・私文書の信託契約書の場合、金銭信託で信託口口座を開設することはほぼ不可能。

私が思いつくだけでもこれだけ違いがあります。
ちなみに、公正証書で作成することのデメリットは、公正証書の作成費用が別途かかることですがこれは常識の次元ですし、契約当事者が公証役場に出向くなり公証人に出張してもらって面談する必要がありますがこれも契約が正しく締結されることの担保ですからデメリットではなくにメリットであると思います。

ハッキリ言ってしまえば、公正証書を作れる程度の意思や判断能力がないと信託契約は締結できませんし、そうであるならば公正証書で作らない理由はまったくないのではないでしょうか。



※1 自己信託宣言(委託者自身が受託者となって他者の受益者のために自己の財産を信託財産にする宣言)といった特殊な信託の場合は、公正証書で作成しないと無効となる場合があります。

※2 一般の公正証書の作成は代理人でも可能ですが、その場合公証人は代理人の本人確認・意思確認を行いますので、信託契約を代理人で行うことは公正証書で作る意味がありません。また、信託契約には遺言と同じ機能を持たせることが可能ですので、民法上、遺言が代理で行うことが許されない以上、たとえ契約当事者の判断能力や意思に問題がなくても、代理で行ってしまった(遺言と同じ機能を持つ)信託契約が無効になる可能性は極めて高いと思われます。



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