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信託とはRECRUIT

根本的な話になっちゃいますが、そもそも信託ってなんでしょう?

我々司法書士も、通常所有権とか権利が動くときは「売った・買った(売買)」、「ただであげた・もらった(贈与)」、「父が亡くなったので長男が引き継いだ(相続)」というパターンがほとんどで、「託す」という概念に出会うことはまずありません。
ある意味、売買とか相続とか典型的なパターンが体に染みついているので、逆に一般の法律に精通していない方よりイメージが沸きにくいところではあります。

話は戻りますが、なんとなく信託というと「信託銀行」とか「投資信託」とか、金融機関の商品やリスクのある財産の運用を思い浮かぶと思います。私も金融機関さんとのお付き合いで「つみたてNISA」なる投資信託をやっています(ちょっとでも元本より多くなったらすぐ解約しちゃうのでほとんどいつも残高ゼロですが)。
こういう企業がやっている営利事業としての信託も信託には違いありませんが、言葉としての信託の意味は、私の持つ字引(三省堂大辞林第三版)には、抜粋ですがこう書いています。

しんたく【信託】現金・有価証券・不動産などの財産の権利を他人に移転し、その管理や処分を任せること。
しんたくけいやく【信託契約】委託者が所有する財産を受託者に移転し、一定の目的(信託目的)に従い、受託者にその財産の管理・処分をさせる契約。

まさに「信じて託す」という字面のとおりですね。

簡単な図にするとこんな感じでしょうか?
(※委託者・受託者・受益者の詳しい説明はまた別のページで。)


投資信託を例に挙げれば、お金の持主(委託者)が金融機関(受託者)、投資して儲けるため(信託目的)に、お金を託して(「預ける」じゃありません。「託す」です。)、そのお金を管理したり株式投資なんかに使っちゃうことも認める契約ということでしょうか。
投資した結果、たくさん増えることもあるし、大損しても信託したお金は預けたわけでも貸したわけでもなく、投資してもらうために渡したわけですから減っても文句は言えないわけです。

そんな説明だとなんだか信託ってリスキーな契約みたいですね。
たしかに、企業などが営利事業として行っている信託は、信託の目的が投資や運用ですから、ハイかローはともかくリターンをもらうためにリスクを負わされる契約です。
しかし、信託には必ず信託の目的があるはずです、目的もなしにこんな理解のしづらい契約はしませんし、目的が投資でなければ、まったく違う機能を果たすと思います。

例えば、恥ずかしながら私の身の上を例に挙げますが、私の亡き父は生前自宅から車で1時間ほどの距離の遠方に小さな貸店舗を持っていました。
古い店舗でしたので、結構、店子から修理の依頼やら近隣との境界の立ち合いやらがあると飛んで行ってせわしなくやっていました。
元気なうちは良いのですが、父が高齢になってくると、そういう対応もしんどいですし、大修繕等で銀行からお金を借りようと思っても、高齢だという理由で審査で引っかかったりして相当頭を抱えていたのを覚えています。
時々、頭にきて「どうせ将来おまえのもんになるんじゃろうが!おまえがせい!!」とか怒鳴られたりしたんですが、この国には登記というものでキチンと名義が定められている関係で、所有者でないとできないことが多いんですよね。
固定資産税の問い合わせで役所に電話するだけでも「ご本人ですか?(たとえ息子でも)ご本人じゃないなら、ご本人に電話掛けてもらわないと・・・」なんて言われてこともありました。
こんな事態に、もし信託という制度があって、目的は高齢の父の財産を守るために、息子に貸店舗の所有権を託す契約をして登記の名義も息子に変えられることを知っていたら、私は父に代わって「私は大家さんです!!」って顔をして、父の指図の元で修理の手配をしたり、境界の立ち合いをしたりして、父自身は80近い年齢で車で往復2時間の距離を走り回らなくて良かったわけです。それに、年齢が問題だったのならひょっとしたら父が駐車場用地にと狙っていた隣の土地を買えていたかもしれないです(結局その隣地が売りに出たときに父は高齢だという理由で融資が受けられなかったんです)。

「我こそは司法書士」なんてえらそうに言いながら、その当時、私は本当に知らなかったです。
こういう恥ずかしい経験を吐露したのは、信託に限らずどんなことでも、知らなければどうにもならなかったことが、知ってさえいれば可能性が必ず広がることをお伝えしたかったのです。

なお、用語としてですが、金融機関さんとか企業さん等が国から免許や登録を得て、営業(業務)として行う信託が「商事信託」と呼ばれ、財産を託される人(受託者)が営業として引き受けるわけではない信託は「民事信託」と呼ばれます。
このサイトで説明をするのはもっぱら民事信託についてです。
商事信託は各事業者さんのすることですから、その事業者さんにお任せしたいと思います。


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