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遺言執行者がある場合の相続人の行為RECRUIT

民法第1013条(遺言の執行の妨害行為の禁止)
1 遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げる行為をすることができない。
2 前項の規定に違反してした行為は、
無効とする。ただし、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
3 前2項の規定は、
相続人の債権者相続債権者を含む。)が相続財産についてその権利を行使することは妨げない

  • 用語として「善意の第三者」の「善意」とは、道徳的な概念の「善意」「悪意」ではなく、ある事実を知らないことを「善意」、知っていることを「悪意」と呼ぶ。
    この規定の場合には、「遺言があって遺言執行者がいること」を知らないことが「善意」となるが、通常、第三者が遺言や遺言執行者の存在を知っていることはまず考えにくいので、遺言に利害関係がある第三者のほとんどが「善意の第三者」となると思われる。
  • 改正前は、遺言執行者がある場合の、相続人の遺言に反する処分行為は、第三者の善意・悪意、登記等の対抗要件の具備も問わず絶対的に無効だったが、今回の改正で、例えば相続人が勝手に法定相続分で共有とする相続登記を完了して、自己の相続分相当の共有持分を売却してしまった場合、遺言執行者は買主に対しては無効を主張できない。この場合、処分行為をした相続人に損害賠償請求ができるに止まると思われる。
  • 第3項については、被相続人の債権者はもちろん相続人の債権者も、遺言の対象となっている財産についても差押えが可能であることを意味するので、民法第899条の2との兼ね合いもあり、遺言執行者とこれらの債権者との関係は、先に対抗要件を具備した方が優先という意味で「早い者勝ち」の関係となってしまう。
    例えば、遺言に基づく遺贈の登記等の対抗要件具備がされる前に被相続人の債権者や相続人の債権者の差押えがされた場合には、もはやその部分の遺言の執行は不可能になってしまうので、受遺者等が自分で遺言執行者となった場合は自己責任であろうが、専門職等の第三者が遺言執行者となった場合、受遺者等から責任を問われる可能性がある。

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