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遺言執行者の権限の明確化

民法第1007条(遺言執行者の任務の開始)
1 遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。
2 遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく
遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

第1012条(遺言執行者の権利義務)
1 遺言執行者は、
遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。
2 遺言執行者がある場合には、遺贈の履行は、遺言執行者のみが行うことができる。
3 第644条から第647条
(受任者の善管注意義務・報告義務・受取物の引渡し等の義務・消費した金銭の賠償責任)まで及び第650条(受任者の費用等の償還請求等)の規定は、遺言執行者について準用する。

第1014条(特定財産に関する遺言の執行)
1 前三条
(遺言執行者の相続財産目録の作成・遺言執行者の権利義務・遺言執行の妨害行為の禁止)の規定は、遺言が相続財産のうち特定の財産に関する場合には、その財産についてのみ適用する。
2 遺産の分割の方法の指定として遺産に属する特定の財産を共同相続人の一人又は数人に承継させる旨の遺言(以下「特定財産承継遺言」という。)があったときは、遺言執行者は、当該共同相続人が第899条の2第1項に
(法定相続分を超える権利の承継の対抗要件)規定する対抗要件を備えるために必要な行為をすることができる。
3 前項の財産が預貯金債権である場合には、遺言執行者は、同項に規定する行為のほか、その預金又は貯金の払戻しの請求及びその預金又は貯金に係る契約の解除の申入れをすることができる。ただし、解約の申入れについては、その預貯金債権の全部が特定財産承継遺言の目的である場合に限る。
4 前二項の規定にかかわらず、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

第1015条(遺言執行者の行為の効果)
 遺言執行者がその権限内において遺言執行者であることを示してした行為は、相続人に対して直接にその効力を生ずる。

第1016条(遺言執行者の復任権)
1 遺言執行者は、自己の責任で第三者にその任務を行わせることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
2 前項本文の場合において、第三者に任務を行わせることについてやむを得ない事由があるときは、遺言執行者は、相続人に対してその選任及び監督についての責任のみを負う。

  • 遺言の内容を相続人に通知しなければならないが、相手方の相続人の遺留分の有無は問わない。
  • 旧法では遺言執行者は「相続人の代理人」とみなされていたが、改正で誰の代理人でもない独自の権利義務を有する「遺言執行者」という職務であると規定されたので、相続人に訴訟を提起する必要があっても利益相反となる問題は生じなくなった。
    第1012条第3項の準用規定が実際の権利義務の具体的内容の例示となると思われる。
  • 今回の改正で、法定相続分を超える権利の承継は対抗要件を備えなければ第三者に対抗できなくなったので、遺言執行者にも対抗要件を備えさせる権限を持たせる規定が設置されている。
  • 遺言執行者の行為は直接相続人に効力が生じることになるが、遺言執行者は「相続人の代理人」ではなくなったので、権限外の行為は無権代理(追認の余地がある。)ではなく、無効となると思われる。
  • 原則として遺言執行者の自己責任ではあるが、復代理人を選任できることが明示された


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